一括見積もりサイトなら簡単に事業用太陽光発電の価格比較ブログ:17/12/26
あたしは子供の頃を思い出すと、
いつも裸電球のうす暗いトイレが浮かんでくる。
ちり紙のかわりに新聞紙が置かれている…
その頃のあたしは
色のない世界を生きているようだった。
どうしてあたしの家は貧乏なのだろう。
あたしはお金持ちの家の子供に生まれたかった。
チャイムの鳴る家、きれいなトイレ、
フリルの着いたブラウス、おかし、そして自動車…
あたしは、いつも空想の世界で生きていた。
欲しい物は、何一つ手に入らない…
魅力的な品々は、次々と目の前に現われては素通りしていった。
田舎が嫌い、農業も嫌い!
あたしは、地元の高校へ行かなかった。
少しでも家から離れたかった。
高校卒業後、
貧しいにもかかわらず、
父母は、あたしの進学を許してくれた。
しかし、卒業したものの就職先も決まらず、
あたしは家に戻ることになった。
田舎に戻ったあたしに、父母は何も言わなかった。
居心地も悪く、あたしは地元で仕事を探した…
地元に就職して、ふた月が過ぎた頃、
あたしは農家の長男と知り合った。
農家の長男、跡取り…
不安な材料ばかりだった。
やめよう、幸せになんてなれない…
やっぱり普通のサラリーマンがいいな。
「あたしたち、お父さんやお母さんに
遊びに連れていってもらったことなんて一度もなかったよね」
お姉さんと二人で、農家なんて嫌だと話していた。
この家で、幸せなことは何一つとしてなかった。
現に目の前には、
不幸の象徴である母親がいるではないか…
その時だった。
「農家はたいへんだけど、秋に米ができるとうれしいもんよ」
母親がぽつりと言った。
母親の口からではなく
母親の身体の奥から、
さらりと出てきた言葉のようだった。
それは、長い間、農作業をしてきた
身体から出てきた魂のひびきにも聞こえた。