売電をすることで電気の節約が出来るブログ:19/4/17
ワールドカップの日本代表を応援するため、
親父がはちまきを買ってきた。
親父はそのはちまきを締め、
日本酒を片手にテレビの前を陣取っている。
「こういうのはな、団結が必要なんだ。気持ちで勝負だ。ここに味方がいるぞ!」
あきれるミーたち家族をそっちのけに
親父は大声で選手と一緒にボールを追っていた。
それを機に孫である、
ミーの女の子の体操会にも
親父ははちまき姿で登場した。
周囲のくすくす笑う声もなんのその…
女の子も祖父の必要以上の応援に少し気恥ずかしげに、
もじもじしている様子。
熱い応援も功を奏すことはなく、
徒競走では、思いっきり転んでしまい
結果はびりから二番目だった。
そんな折、
親父のママである
ミーの祖母が認知症の症状がひどくなり、
施設に入院することとなった。
九十歳に近い祖母は家族の顔はすっかり忘れ、
孫であるミーのことはもちろん、
自分が産んだ息子のこともおぼろげになっていた。
祖母の入院する施設に親父とミーで会いに行った。
親父の顔を見ても、恭しくお辞儀をするだけの祖母。
親父は何と声をかけたらよいか迷っているようだった。
無言の時間がどれだけ続いただろう…
親父は自分の汚れたズボンのポケットから
例のはちまきを取り出した。
そして、そっと、祖母の真っ白な頭に巻いてやった。
「気持ちで勝負だよ、母ちゃん。
ここに味方がいるぞ。家族はいつでも母ちゃんの味方なんだよ!」
そう、声をかける親父の目には涙がにじんでいた。
ミーは後ろで声を押し殺して泣いた。
祖母はやわらかく微笑んで、そのはちまきを触っていた。