これからは蓄電池を利用して節電対策ブログ:20/4/11
2週間前、2ヶ月振りに母が帰ってきた。
「お父さんの還暦祝いをするんだけど、来てくれる?」
父親の勤務地が変わって、
母は父親と札幌へ行ってしまった。
そして、母はときどき一人で札幌に帰ってくるのだ。
母が戻る日…
おれは仕事で休めなそうにないから無理だと言うと、
母は寂しそうな顔で家を出ていった。
おれは家で一人ぼっちになると、
母には悪いことをしたなぁ…と後悔した。
沈んだ気分を吹き飛ばしたくて
おれはテレビをつけた。
司会者とゲストが楽しそうにおしゃべりしている。
その遣り取りで、
おれはゲストが司会者から電報を受け取っているのが気になった。
「そういえば、電報という手があるな!」
父親の還暦祝いに、
おれは真っ赤な鳳凰が羽ばたいているデザインのカードを選んで、
メッセージを添えて贈ることにした。
父親の還暦祝いが行われた翌日、
母から電話がかかってきた。
母の声はいつもより弾んでいた。
「ありがとう。電報届いたよ。
感情をあまり出さないお父さんの久しぶりの笑顔が見れたわ」
「お父さん、喜んでくれたんやな」
「当り前よ。お父さんね、メッセージを読んでからしばらくの間、
鳳凰にみとれていたわ」
おしゃべり好きの母の話はいつものように脱線し、
なかなか話が尽きなかったが、
ようやく電話を切ることができた。
母の声が聞こえなくなると、
今度は父親の姿が浮かんだ。
今頃
座敷に胡坐をかいて愉快な顔で
父親は日本酒を飲んでいるのかなぁ…
その横で、あの真っ赤な鳳凰は羽を休めていることだろう…